2017-07-22

モジュール変更制限の改正案について

エネ庁が太陽光発電の認定(設備認定・事業認定)について、

一定範囲の制限を買取価格変更となるよう改正を行う動きがあります。

改正案パブリックコメントのページ

 

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620117031&Mode=0

 

 

まだ正式決定ではありませんが、8月4日までパブリックコメントを募集をしており、その後実施される可能性があります。

改正FIT法も法の不遡及を無視し強引に過去の事業者にさかのぼって適用する理不尽さでしたが、

今度は、時間的猶予もなく、みなし認定業者が事業計画書提出中で変更認定を行うことあできないタイミングで

このような改正を行おうとしていることに憤りを感じます。

 

事の背景としては、モジュール増設により再エネ賦課金による国民負担が増えることに配慮したものと思われます。特に最近は過積載が認知されてきていることから、過去のFIT価格(40円や36円等)が事後的に増設することで、既存の設備のままで賦課金が増えることが起こりえます。それに歯止めをかけようと意図したものでしょう。

 

しかし現実的には、このような改正案は賦課金を抑制する効果はかなり限定的で、むしろ新規の発電所、特に大きな発電所の開発の見通しが建ちにくくなってしまう点で非常に問題があります。

 

効果が限定的というのは、既に発電開始したサイトの場合、敷地に余裕があるようなケースは殆どないためです。敷地に余裕があるときや用地追加取得ができる場合でも、過積載が許容できる範囲でしかモジュール増設ができないため、当該増設は多数は起こりえません。

 

これにたいして、当該改正案によるプロジェクトの影響は図りしえないほど大きくなります。特に特別高圧や大きめの高圧メガソーラーで造成が必要なものでは進行中プロジェクトの破たんや、新規のプロジェクト頓挫が多発してしまいます。なぜかというと、通常こうした大規模な発電所開発はモジュールの事後的変更を前提としておりますが、当該改正案では、上限下限の許容量がかなり小さいため、価格変更となってしまう認定の可能性が大きなリスク要因となってしまい、金融機関の資金調達等に影響がでてしまうためです。

 

例えば2M弱の高圧発電所を例にとると、敷地全体を造成をかけるような用地の場合、設計会社に依頼して造成計画図を作成するにあたり、全体の測量を行い、造成計画図面を作成し、当該図面にパネルのレイアウトを行います。しかし、現在の改正FIT法では、買取価格確定まで1年程度時間を要してしまいます(接続検討3か月、連携承諾最大6か月、設備認定2~3か月、それぞれの書類準備に合計2か月程度かかるとして)。設備認定が取得できるまでは、年間の収支予測も、コストの試算も見通しがたないため、認定取得前に大きな費用の掛かる測量や境界画定を行うことはありません。これまではモジュール設置量は計画振興に応じて測量を行い、事後的に変更をかけるのが一般的です。

 

しかし、上限3%下限20%の制限が加わることで、事後的変更を前提にプロジェクトを組み立てることができなくなってしまい、事前に大きな費用をかけて、接続できるかどうかもわからない発電所の測量を行うか、さもなければ事後的に変更を行いFIT価格変更のリスクを負いながらプロジェクトを進める必要が出てきてしまいます。その結果、認定後であっても銀行融資が付きにくくなるなど大きな影響がでてしまいます。

 

また、地権者の数多くいる発電所の場合、途中から一部の地権者の合意が取れなくなるというのは起こりうることです。

こうした場合これまでは、モジュールの容量を変更することで、増減に対応できましたが、改正案が成立するとこうしたケースでも事業破たん要因となってしまいます。

 

この他にも、この改正案の問題点は数多くありますが、簡潔にまとめると下記の通りになります。

・変更を前提に動いて事業が破たんし、訴訟が多発する可能性がある。損害賠償となった場合、国民負担となって帰ってくるので、公益性の点からも望ましくない。

 

・通常は設備容量(ほとんどの場合パワコン容量)を前提に送電会社による系統側の影響が検討されている点から考えると、インフラの有効活用という点から過積載を意図した増設は望ましい。

 

・再エネ賦課金の批判はそもそものFITの存在意義を問う批判で、こうしたマイナーチェンジといえる法改正をそのような批判に配慮して行うべきではない。

 

・そもそもFITは国の補助で再エネ産業の競争を促し、それにより価格を下げ、長期的なエネルギー供給の点で社会的に便益をもたらすことを意図したものである。短期的視点からの再エネ賦課金批判に配慮して法改正を行うべきではない。

 

・上限3%の変更はパネル1枚265wから275wになっただけでも超えてしまうが、これはわずか1年で起こりうる効率向上である。将来的なロット不良などによる大量交換が発生した場合、事業者側が無意味に枚数を減らす必要がでてきてしまう。枚数を減らす場合でも、直列・並列の調整から全体の電気工事が必要になり、事業者に無意味な負担を押し付けてしまうことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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